「国民投票法案が今国会成立へ、衆院特別委で与党案可決」というニュースを読み、今の日本は1960年代のブラジルに似ているなぁと思い、ブラジルのカエターノ・ヴェローゾの映像をYouTubeで拾い集めてみた。
軍事クーデターを国民が支持し、貧富格差を生み出し、貧しい裏山はゲットーの貧民街となり、ストリートチルドレンが現れた時代。
アイドルとしてデビューしたカエターノ・ヴェローゾは世界中で盛り上がる学生運動に刺激受けたマスコミに煽られ、挑発的なパフォーマンスを繰り広げる。
エレキギターがブラジルらしからぬものとしてバッシングされ、刃向かうカエターノは「禁じる事を禁止する」を歌い、激しい野次を浴びせかけられる。
仲間の意見も割れ、誰が味方かも判らない時、カエターノはバラエティ・ショウの演出を事大げさに密告され、国旗侮辱罪で逮捕される。
刑務所でカエターノは看守の前で銃を背に突き付けられ、歌う事を命じられ、長髪を切られる。
保釈後、自分で髪を切ったというような誓約書にサインをさせられ、口封じされるも、再逮捕の噂を知り、国外亡命を決意し、気候が全く逆のロンドンに渡る。
逮捕当時の尋問の恐怖により、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に悩まされたというカエターノは無事帰国の数年後の映像でも視線は脅えたように落ち着かないでいる。
右傾化、すなわち、軍備増強のイメージしか持たない我が国。
保守化層が管理国家を望み、人種差別のない国ブラジルが貧富格差あるゲットーを生み出した歴史を知るべきなんじゃないかと思う。
民主化した後も貧富格差から抜けきれないブラジルは1990年代、ストリートチルドレンの虐殺、満員となったカランジル刑務所の暴動と弾圧という流血で大地を汚す羽目になる。
その時、カエターノは「サンバは死んでいない」と「サンバがサンバであった時から」を歌う。
少子高齢を顧みない今の日本の国情はやがて行き詰まり、ブラジルの歩んだ道を歩むのかも知れない。
現在、ブラジルは富裕層の消費頭打ちで、どのように格差を是正し、せっかくの好景気を持続させるかが課題と聞く。
カエターノの歌う姿に過去の過ちを知ろうとする若者たちの姿に今の日本が見失ったものを観る思いがするのだが。
男どもが その腐った権力を行使している間に
飢えや怒りや乾きのせいで 死んだり殺したりすることが
どれほど自然な行為であることか
カエターノ・ヴェローゾ「ポードゥリス・ポデーリス(腐った権力)」
与党国会議員は審議という職務を放棄し、国家の将来を国民にゆだねられた日本はブラジルと同じ十字架を背負ったのだろう。
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