2009-12-29

年の瀬 The end of the year

病院も年の瀬を迎え、今朝は朝の6時を過ぎても看護婦さんが起こしに来る気配がない。

6時30分過ぎ、白んだ外も明るさが増し、よく眠れたせいもあって、起に来るまで寝ていようと思っていたけど、止め、起き上がった。

今日は一週間続いた24時間の点滴から解放される日でもあり、その嬉しさもあったのかも知れない。

ブラインドのカーテンを開け、まだ周辺ショップのネオンが灯る街を見ていると、当直の看護係長さんが入って来られ、いつもの日課が始まった。

「寝れましたか?」

ゆったりした会話も年の瀬と思ってしまいそうなそんな朝。

「今日の昼にお願いしていた一階のATMに行くの手伝ってください。」

部屋からの外出も許可されない身には一週間ぶりの病院内の景色も懐かしいもの。

そういえば、昨日看護婦さんに車椅子に乗せられ、マスク着用で洗髪に連れて行って貰った時も病院内の景色が妙に懐かしかった。

朝の短めの点滴が終わった時、一階に看護婦さん付き添いで行く時、入院時、手続きを急ぐあまりにろくに見ていなかった病院内の景色を部屋に備えられた病院内の概略図に重ね合わせ、位置を確認する自分が愛おしくなる。

看護婦さんも気を使ってくれたのか、ATMに着くと「後は一人で帰れますよね。」と束の間の自由を与えてくれた。

給与が振り込まれているのを確認し、そこから家賃を振り込み、他への支払い分を引き出して、部屋に戻る道すがら、足の筋力の衰えを痛感し、点滴の支柱車を頼りにしている自分をまた知る。

昼飯が終わり、やっと24時間の点滴から解放された時、手ぶらでトイレに入れる喜び、手ぶらで顔を洗える喜びはひとしおで知らず知らずのうちに点滴車を杖代わりに頼る自分から早く立ち直ろうと意味もなく部屋をうろついたりする。

昼3時、他への支払いを頼まれてくれた従妹が来てくれ、近況を普通を装いながらも親身に聴いてくる。

昨日、主治医から今後の油断は許されない治療過程の説明を一緒に聴いてくれた従妹だから、僕も身の置き所があり、頑張る気にもなれる。

夜となり、点滴がなくなった代わりに飲む薬の数が増え、副作用の覚悟を持たなくならなくなった。

しかし、手足が自由であり、点滴管を気にせずに眠れる事が何より嬉しい。

明日の朝はもっともっと年の瀬を感じると思う。

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