昭和一桁世代の少年時代。作家・妹尾河童の自伝的小説の映画化は太平洋戦争前のまだ外国人が神戸にいた時から始まり、戦時下を潜り抜け、敗戦後までの「少年H」を描く。
思想的弾圧から戦意高揚、来るはずがない敵機来襲、神戸空襲、そして敗戦。
価値観がめまぐるしく変わる時代に翻弄される「少年H」を追うことであの戦争を見せている。
水谷豊の熱中先生・妹尾家お父さん篇とでもいうべき演技は「少年H」と一緒に生きるお父さんだし、結核の恐ろしさすら無視してしまった宮崎駿の「風立ちぬ」より遙かに「生きねば!」がこの映画にはある。
昭和一桁世代の少年時代。野坂昭如の「火垂るの墓」などに比べれば、確かに妹尾家は幸福な家庭である。それでも「生きねば!」という思いは伝わってくる。
あの戦争の時、待機する軍用機もなく、廃材で作った飛ばない軍用機を軍用基地に配備させていたという話を昭和一桁世代の人達からバカな戦争としてよく聴かされたっけ。
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