昨日、時間が出来たので、映画『夕凪の街 桜の国』を観てきた。
被爆者家族を描いたこの映画、期待ほどではなかったけど、ネットで検索するとこうの史代の原作マンガ『夕凪の街 桜の国』と被爆作家の大田洋子の逸話が面白い。
銃後の国策文学として大陸から見た日本を記した『桜の国』を書いた大田洋子が被爆して、原爆ルポルタージュ『夕凪の街と人』を書いたという下地が『夕凪の街 桜の国』にはあるらしい。
被爆者、平野皆実を描いた前半『夕凪の街』は参考文献として、大田洋子の『夕凪の街と人』『屍の街』をあげているけれども、後半の『桜の国』は平野皆実の姪である石川七波の封印した幼き日の被爆者家族を思い出す物語は大田洋子の『桜の国』を参考にはしていないと云う原作者、こうの史代の証言とは裏腹に、大田洋子へのオマージュのように感じられてならない。
戦争に荷担したがゆえに原爆告発の激しい怒りが吹き出したのであろう大田洋子の想いをこうの史代は時間が経ち、二重に過去を振り返る『桜の国』を描く事で、無数の庶民の命を奪った戦争を甦らせ、今の平和を噛みしめさせる構成にさせたのだろう。
「嬉しい?/原爆を落とした人はわたしを見て/『やった!またひとり殺した』ってちゃんと思うてくれとる?」
平野皆実の恨みの遺言はテロ防備のために核武装を説く昨今の風潮に向けられたのだろうし、大田洋子の荷担したがゆえの怒りが『夕凪の街 桜の国』の根本にはあるのだろう。
戦争はお手伝いも後始末も皆庶民に負わされる。
その事を肝に銘じて。
- OhmyNews : 『夕凪の街 桜の国』と大田洋子
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夕凪の街 桜の国
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