アメリカの政権交代のお陰なのだろうか?日本未発売のニューシネマの名作群がやっとDVD化発売される!
ラインナップはFox Japanサイトで公開されているけれど、その中で、気になるタイトル・リストをご紹介。
- 3月6日発売 : 北国の帝王
レッド・パージを生き抜いた反骨の映画監督、ロバート・アルドリッチ監督の代表作で、1930年代の不況期に列車にただ乗りしようとする移住労働者ホーボーとただ乗りを見つけ出し、我が職を守ろうとする機関手との壮絶な戦いを描いた作品。生き延びるための戦いにおこぼれ頂戴しようとする「若造」を川に突き落とすラストの広大な景観は自然の中で生きる厳しさを伝えきっている。 - 4月2日発売 : 東京暗黒街 竹の家
低コストのB級映画を作り続けたサミュエル・フラー監督が敗戦時の東京を舞台に作った犯罪アクション映画で、風俗描写や生活描写など“外人から見たヘンなニッポン像”が描き出され、公開当時、国辱とまで言われた作品。形のみの欧米化を果たした今ではここに描かれるニッポンも異国情緒なのかも知れないけれど。 - 5月2日発売 : ハリーとトント
アメリカン・ニューシネマ以降に庶民を描く事を得意としたポール・マザースキーの出世作で、ニューヨークにひとり住む老人が区画整理のため、住む家をなくし、娘夫婦の暮らすアリゾナへ愛猫と一緒に旅するロードムービー。老いてなお人間である人間賛歌はまた、人間喪失の社会を映し出していた。 - 5月2日発売 : グリニッチ・ビレッジの青春
同じくポール・マザースキーの自伝的な作品で、ハリウッド行きを夢見る役者志望の若者が暮らす街の人間模様がリアルに描き出される。「夢」を持てた時代の光景が公開当時の1970年代、うらやましかった記憶がある。今までビデオ化もされておらず、今回が初のソフト化でもあるよう。 - 5月2日発売 : 結婚しない女
女性の社会進出が叫ばれ始めた1970年代後半、庶民の機微を描く事を得意としたポール・マザースキーがリアリティに女性の生活を描き出し、その後の「女性映画」の草分けにもなった作品。 - 夏発売予定 : ニュールンベルグ裁判
人を裁く事が、弾劾裁判にもなりかねない恐れがある事を描いたスタンリー・クレイマーの有名作で、今までDVD化されていなかったのが不思議な作品。戦犯容疑を問いただす「正義」が故に、ファシズムと同様に尋問で責めまくる時「また、同じ事を繰り返す気か」と審議はさえぎられ、スペンサー・トレイシー演じる裁判官が語る「国家は個人の延長ではない」(A country isn't a rock. It's not an extension of oneself.)社会観の大切さ。それを描いたが故の名作だろう。 - 夏発売予定 : 日曜はダメよ
レッド・パージでアメリカ合衆国を追放されたジュールス・ダッシンがギリシャで作ったライト・コメディ。自由に生きる娼婦と知識を持った学者の恋愛話が、博学者に自由の素晴らしさを、自由人には生きる知恵を持つ物語になっていく。タイトル「日曜はダメよ」とは日曜もなしに働かされる娼婦の権利主張を語った物。
かつては世界で一番、どんな情報も入手可能であったシンクタンクの日本もすっかり「売れる情報」だけが売られる国になってしまい、国内の名作映画でも海外ではDVD化されているのに、日本では発売されていない例も多々あり、遅きにせよ、このようなリクエスト・ライブラリーのような形で、情報の時代であった20世紀の遺産を気軽に見られる機会を作って欲しいもの。「日本に行けば、なんでも判る」それが日本の誇りだったのだから。
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