統計局の人口推計月報のページにある年齢(5歳階級),男女別推計人口の表を見ると、最も人口が多い55歳から59歳の方達が997万人、これから労働人口に加わるであろう15歳から19歳の人口が620万人、単純にこの二世代の人口差を労働人口の減少と捉えるならば、377万人の減少となり、今までの日本経済の維持を単純に考えるならば、この377万人を労働移民などから確保しなければ、日本の国は活力が衰えるという見方がある。
これは単に日本のみの問題ではなく、欧米の先進国はこの労働移民と現地に暮らす母国人との生活習慣の違いの問題や税収を労働移民に依存する割合が増えていくために起こる異文化混合の「国家」のあり方などその問題点は多岐に渡っているという。
移民の国アメリカ合衆国などは大きな戦争の度に国を支える若手が戦死し、第二次大戦後の黒人たち、ベトナム戦争後のヒスパニック系の社会進出で、人権運動が盛んになった歴史を持つし、フランスの移民の暴動デモも記憶に新しいと思う。
ドイツや北欧では冷戦崩壊後の東欧からの難民や異常気象による干ばつ被害によるアラブ、アフリカの難民の受け入れと国内の構造不況のためによる母国人のカナダなどへの移民が増えているという話を聴きもした事がある。
そんな国際情勢下、1997年デンマークはコペンハーゲンで結成した移民二世の3人組ヒップホップ・ユニット、アウトランディッシュ(Outlandish)の2005年に発表された3rdアルバムを昨年暮れに入手し、聴いている。
ルーツをモロッコ、南アメリカのホンジュラス、パキスタンに持つ3人のサウンドはヒップポップをベースにしつつ、ラテンやアラビックなメロディを聴かせ、歌われる言語も英語、アラブ語、スペイン語、ウヴドゥ語と多様を極めている。
国際的に話題になっているこのグループのアルバムは残念ながら日本国内での発売はされておらず、歌われている歌詞の内容は判らないけれども、移民二世のアイデンティティを歌ったもののようで、ラスト前の曲「I Only Ask of God」はラテンアメリカの超有名曲である「ただ神に願う事は」のカバーであり、9.11から始まったアメリカによるテロ撲滅宣言に対する、アメリカこそ神の裁きをとする向きのテーマソングとして、YouTubeにビデオクリップがアップされている。
先進国の少子化と第三世界の貧困が労働移民として顕著化した今日、日本にもその波は押し寄せてきているのは街でよく見かけるようになった様々な国の人たちを思い返せばよく判る。
そんな彼らのアイデンティティソングはこの先、「国家」という価値自体を揺るがしていくのだろう。
ただ神に願うことは Solo Le Pido A Dios
神様にお願いしたい ただひとつ
苦しみも わたしのものにしてください
わたしが死ぬ時にたったひとり
やりたかったことも出来ずに死にたくない
神様にお願いしたい ただひとつ
不正も わたしのものにしてください
キリストは左の頬を出せといったけれど
こんなに殴られて もういやだ
神様にお願いしたい ただひとつ
戦争も わたしのものにしてください
そいつは大きな化け物で踏みつぶす
悪を知らない私達の貧しさまでも
神様にお願いしたい ただひとつ
嘘も わたしのものにしてください
民よりもひとりの裏切り者の方が
力があるなら そいつを忘れないように
神様にお願いしたい ただひとつ
未来も わたしのものにしてください
幻滅に逃げることのないように
他の文明に生きなくてもすむように
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