イギリス人監督ダニー・ボイルによるインドの現役外交官ヴィカス・スワラップの小説「ぼくと1ルピーの神様」の映画化作品『スラムドッグ$ミリオネア』。
インドを舞台とした映画が何故、アカデミィ作品賞なのか、それが気になり、観に行った。
BRICと呼ばれる経済発展が著しいブラジル (Brazil)、ロシア (Russia)、インド (India)、中国 (China) の中の一国、インドも経済発展したが故にスラム街は過酷な経済格差の中に押し込まれ、はい上がろうとする者たちによって、スラムの子供たちはその生け贄となっている。
クイズ番組「ミリオネア」と平行して、語られていく回答者の少年の過去は時には目を覆いたくなる場面が映し出され、それでも生き抜いた少年の顔に戻る。
ダニー・ボイル監督のフィルム編集は過去と現在、スラムの暴力とテレビの暴力を巧みにつなぎ合わせて見せるけれども、インドを撮った外国映画という感じがし、違和感はぬぐえなかった。
インド・スラムのバイタリティがどこか現実逃避に感じられ、例えばイギリスの在英インド人街のバングラ・ビートのバイタリティを映画化してくれれば、もっとリアルに興奮出来たのかも知れない。
過酷すぎる現実がある故に、その国を植民地化していたイギリス人が単純に憧憬を持ち、それをアカデミィ賞他映画祭で賞を総なめしてしまう事がなんか免罪符なような気がしてならなかった。
ラストシーンのインド映画讃歌ともいえるダンスシーンはスラム問題を抱えるBRIC諸国の今後の底力と期待するには早計なのかも知れないけれど。
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