2009-04-18

秘話『シェルブールの雨傘』 Secret story "Les parapluies de Cherbourg"

シェルブールの雨傘』を見終えた後、久しぶりに映画のパンフレットなるものを買い、今日は一日、それを読みふけっていた。

シェルブールの雨傘』には先に書いたアルジェリア戦争の話の他にも様々な伏線が隠されているらしく、その最たるものは女優の卵だったカトリーヌ・ドヌーブがロジェ・ヴァディム監督との間に子供が出来たけれども、ロジェ・ヴァディム監督はブリジッド・バルドーの元へ去り、未婚の母となり、女優生命も奪われかねなかったドヌーブにこの映画の話をジャック・ドゥミが持ちかけ、カトリーヌ・ドヌーブの女優人生が華開いたという事が書かれており、堕胎を禁じ、未婚を蔑視するカトリックの社会に対する批判を身を持って、取り上げたそうで、戦争、植民地、宗教、性、愛、偽善性などあらゆる問題をうちに秘めた作品だったらしい。

この記事を書いた秦早穂子氏は当時、映画の配給に携わっていて、アメリカの規制でヨーロッパ映画の配給本数が決められており、検閲を通らなければ日本の国内で上映が出来なかった状況も語られており、映画『シェルブールの雨傘』の前節になるジャック・ドゥミのデビュー作『ローラ』もそのお陰で配給を見送られたという逸話を書いている。

ドヌーブとロジェ・ヴァディムとの間に出来た息子は実父ロジェ・ヴァディムの映画で俳優デビューを果たしているそうで、この世の縁の不思議さを思いもするけど、映画『シェルブールの雨傘』で帰還兵が自暴自棄になるほどにロジェ・ヴァディムの非情さが浮かび上がる格好に当時は映ったのかも知れない。未婚である事を許さない社会が問題なのに。

入隊するための駅での別れの場面、恋人が乗った汽車が走り出した後、単なる見送りのように駅舎に戻ってしまうジュヌヴィエーブ(ドヌーブ)は薄情に思えるのだけれども。。。

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