レンタルビデオ屋にタゲレオ出版のビデオ一群がコーナー化され、置かれてあり、知っている作品も何本かあるけど、ほとんどが知らない物ばかり。
寺山修司が主催していた実験演劇室「天井桟敷」の舞台公演の記録をまとめたUPLINKのものが同じコーナーにまとまって置かれてあったので、まずはそれを借りてきた。
常識をひっくり返し眺める人、寺山修司が亡くなって、来年で25年。
実験演劇室「天井桟敷」の最後の公演としても知られるガルシア=マルケス原作『百年の孤独』から見始める。
ひとつの村で起こる4つの物語が5つに分けられた舞台で同時進行するこの物語は、観客は全体を見渡すことができず、その村の一部をのぞき見る舞台構成となった前衛芝居。
歴史を俯瞰するはずの観客にしても歴史の全容など判るわけがないというモチーフに沿い、「のぞき見る」共犯者として観客を舞台(歴史)に引きずり込む寺山の陰謀でもある。
生まれた時から死んでいた淫売女が叫ぶ「百年たったら帰っておいで、百年たてばその意味わかる」
「今日も元気で死んでいます」と冥途から届く手紙。
「うるさくてゆっくり死ねもしない」と怒る死に人。
寺山のお得意のこの世とあの世、過去の未来の時空を越えたキーワードが飛び交い、今に固執する現代人を笑い飛ばす。
寺山が今生きていたら、あの世の言葉を語っているのかも知れない。
いやいや、あの世からこの世をのぞき見、「百年の孤独」のセリフをつぶやき続けているのかも知れない。
「早く死んで、逢いに来て下さい。」と。
『書を捨てよ、町に出よう』
理詰めの世の中、あの世なら、この世の愚かさが見えるのかも知れない。
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