2007-11-04

ウェブページの使いやすさ Convenience of web page

少し時間がとれたので、10月に公開されたオーマイニュースのスタイルシートをプリントし、読んでみた。

記事編集における書き換え例を示したこのスタイルシートを一通り読み終え、ウェブアクセシビティの指針にかなり近いと感じたのは筆者だけだろうか。

文章の判りやすさの配慮

オーマイニュースのスタイルシートに示された物は「読んで判る」に主眼が置かれているように感じるけれども、これはウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン 1.0やJIS X8341でも同様の指摘がなされており、文章の判りやすさの配慮がウェブコンテンツ・アクセシビリティ、略してウェブアクセシビティの基本でもある。

それは読者である利用者への配慮の第一が情報でもある文章にあるという事で、見栄えに目が行きがちなページというコンテンツにとって、そこに書かれている文章こそが利用者の求めるものという大前提であり、その配慮を求める事が「利用可能」(アクセシブル)であるとされている。

ウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン 1.0では14の指針として、以下の項目が示されている。

  1. 聞くための内容や見るための内容には、同等の役割を果たす代わりのものを提供する
  2. 色だけに依存しない
  3. 正しくタグ付けし、適切にスタイルシートを使う
  4. 自然言語の取り扱い方に関する情報を明確に示す
  5. うまく変換されるテーブルを作る
  6. 新しい技術を利用したページは、うまく変換されるようにしておく
  7. 時間とともに変化する内容については、ユーザーが制御できるようにする
  8. ページ中に組み込まれたもののユーザーインターフェイスは、それ自体がアクセシブルなものにする
  9. 装置に依存しないように設計する
  10. 暫定的な解決策をとる
  11. W3Cのテクノロジーとガイドラインを使用する
  12. 前後関係や位置を表す情報を提供する
  13. はっきりとわかるナビゲーションのための仕組を提供する
  14. 文書は明瞭で簡潔なものにする

しかし、マルチメディアの急激な普及でガイドラインも2.0のワーキングドラフトが検討され[WCAG 2.0 ラストコール・ワーキングドラフト]、近々勧告されるはずである。

2.0のワーキングドラフトでは14の指針で散漫になっていた項目を整理し、更に拡張されそうなコンテンツに対しては、そのコンテンツの提供元がアクセシビリティ・ガイドラインを示す責任を織り込んだ物となっており、整理されたポイントは以下の4点にまとめられている。

  • 原則1:コンテンツは知覚できなければならない
  • 原則2:コンテンツのインターフェイス要素は操作可能でなければならない
  • 原則3:コンテンツとコントロールは理解可能でなければならない
  • 原則4:コンテンツは現在および将来のユーザーエージェント(支援技術を含む)での利用に耐えるものでなければならない

更に、日本の視覚障害者用ウェブ利用ソフトの機能調査では視覚障害者用ソフトの問題点などもまとめられている。

ウェブアクセシビティとは

ウェブアクセシビティとはウェブを閲覧するウェブブラウザ(Internet Explorer,Netscape,Mozilla Firefoxなど)を提供する企業間でシェア争いが行われた俗に言うブラウザ戦争で、オペレーションなどの環境を問わない文章閲覧を実現すべく、ウェブ開発時に定められたマークアップ定義がどんどん拡大解釈されていく事に対し、それを是正すべくマークアップ定義を管理しているW3Cが勧告したHTML4.01に織り込まれたもので、WindowsやMac、Linuxなどのオペレーションのみならず、余計な画像など表示させずにウェブの情報を収集するテキストブラウザや主に視覚障碍の方達が使っているスクリーンリーダなどウェブの情報を利用者に判るように表示、読み上げさせるユーザエージェントも視野に入れ、「利用可能」(アクセシブル)な環境の実現を定義したものである。

記事など書かれた文章はまずコンピューターで理解出来るようにマークアップ言語というプログラムで加工されるのだけれども、このマークアップ言語に沿ったHTMLの記述が的確でなければ、その文章は単なる文字の羅列であり、コンピューターでは理解した事にはならないので、まずはHTMLのマークアップ定義をきちんと理解して欲しいというところからウェブアクセシビティは始まるのだけれども、ウェブブラウザではマークアップ定義をきちんと理解していなくてもそれなりに体裁整えれば、見せる事は可能なので、マークアップ定義によるコンピューターの認識の重要性が大きくなってくる。

コンピューターの認識を軽視するとマークアップ定義に沿って、表示、読み上げるユーザーエージェントでは単なる棒読み、羅列表示になってしまい、そこに書かれている情報を再活用する術を得られにくくしてしまう。

それは例えば、新聞などでの見出しの流し読みなど何げに行っている使い勝手のコンピューターへの応用でもあるし、マークアップ定義をする事で情報とデザインの分離という技術も楽に出来るようにもなる。

情報とデザインを分離する事により、提供元から示された固定されたデザインでは使いにくい環境でのカスタマイズも可能となり、色合いにおける見にくさや文字サイズの変更なども容易に出来、情報が受け取れないと云うリスクの回避にもなり得る。

いい事尽くめのように思えるアクセシビリティの配慮もコンテンツの著作保護から考えると著作権が守られないという問題もあり、「公共の資産」と「私的な資産」の棲み分けも問題となっても来ている。

とあるレコード店の方が、著作保護がうるさすぎて、宣伝も出来ないとこぼしていた事もあり、「公共の資産」の中で「私的な資産」がどのように確保されるべきかは更に問題になるだろう。

なお、アクセシビリティをチェックするサイトやソフトも年々増える傾向にあり、有名なところでは御本家W3Cのマークアップチェック(The W3C Markup Validation Service)の他、ソースエラーを採点し、解説してくれるAnother HTML-lint gateway、各種ツールを提供する『infoaxia(インフォアクシア)』などがある。

ちなみにオーマイニュースのページはAnother HTML-lint gatewayでチェックすると-105点「がんばりましょう」と採点されてしまうのだけど。

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