2007-11-16

黒い太陽七三一 Men Behind the Sun

母鹿が突然、死ぬ内容が子どもに恐怖体験を与えるとして、ディズニー映画『バンビ』までノミネートさせ、ユニークな選出が話題となったアメリカTIME誌のホラー映画ベスト25にランクインされた『黒い太陽七三一』、レンタルビデオにあったので、借りてきてみた。

この作品、連作されたようで、日本では三本ビデオ化されている。世評としては一作目が名作、二作目は佳作、三作目は駄作といわれているらしい。

三本とも借りてみたのだけれど、おそらく一本目のヒットによる便乗の二、三作に比べても、確かに一作目は凄い。

731部隊の石井四郎中将の医者としての勉学意欲が兵隊たちを巻き込み、中国、朝鮮、韓国、ロシアの人々にありとあらゆる手段で行われる人体実験の模様を描く描写は細菌兵器製造という到着点に向かい、ひた走ろうとし、敗戦で中座せざるえなくなり、証拠隠滅に大虐殺を行う。

人間に対する残虐描写はこのところのマスコミ報道で感覚麻痺してしまい、抵抗感が少なかったけれど、ネズミの大群が猫をかみ殺すシーンはすさまじい。

昨今、動物虐待で、もっとむごい動物虐待が行われていると報道される事件なんか、虐待する者もおそらく返り血を浴びているのだろう。

映画『黒い太陽七三一』に関してはYouTubeでも数多く動画が公開されているけれど、ネズミの大群が猫をかみ殺すシーンはさすがに公開許可されていないみたい。

理性を持ち、自制を失った人間が何をするのか、ホラー映画の基本を踏まえたこの映画は国家とか、組織の皮を被った人間たちの悲劇であり、警告だろう。

歴史は未来への道標。反面教師にしなければ、歴史は繰り返すだろうし、昔、そのような残虐行為はなかったと擁護するならば、どのような状況において、人間は残虐な行為をするのか学んだ事にはならず、残虐な事件が報道され続ける今の状況認識を見誤る事になるだろう。

看守と囚人の役割分担を言いつけられたアルバイトたちが本気で憎み合い始める映画「es[エス]」の元になったスタンフォード大学心理学部の実験と同じく、この歴史的な出来事を描いた映画から人間の本質の恐ろしさを今一度、学ぶべきだろう。

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