スペインの奇才ペドロ・アルモドバル監督の新作はコメディなのかと毒気ある笑いを期待していたのだけど、思惑外れた。
メキシコ行きの旅客機に機体トラブルが起こり、その旅客機に乗り込んだくせ者たちのブラック・コメディはおそらくスペインの事情に詳しければ今の財政破綻寸前のスペインを痛烈に皮肉っているのが判るんだろうなと思いつつ、変態オンパレードの旅客機ワンシチュエーションコメディはストレートな毒気に鼻白んでしまった。
初期のど変態のペドロ・アルモドバル喜劇に戻ろうとしているのは判るし、相変わらずの原色ベースの映像も美しいけど、成熟したペドロ・アルモドバルの技法が邪魔して、純粋な喜劇に戻れないでいる。そんな感じがした。
スペイン国内の事情で低予算を余儀なくされたのか、自身で望んだのかは判らないけど、このワンシチュエーションコメディを作るよりもペドロ・アルモドバルにはど変態な人間ドラマが最も現代を描き出す喜劇だと思う。
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