2008-01-16

2007年度キネマ旬報ベストテン Kinejun Best 10 2007

年明けに早々と発表されたキネマ旬報ベストテン。世界の映画賞の中で、最古の歴史を誇るこのベストテンも賛否両論語られもし、主催のキネマ旬報自体も運営面で厳しい状況の中、日本の映画文化を守る意味合いに置いても、やはり意義ある行事であるだろう。

歴史の途中には日本映画界の苦境の時、苦肉の策として生まれたロマンポルノややくざ映画に対する批評家達の論争で、ベストテン・ボイコットなんていう事件もありはしたけど、81回を重ねたベストテンの歴史は、その時代、その時代の批評家達の感性が現れており、面白い。

今年のベストテンでは僕が観た物は邦画第1位の『それでもボクはやってない』と第8位の『魂萌え!』、第9位の『夕凪の街 桜の国』。洋画第2位の『善き人のためのソナタ』くらいとあまり劇場に通わなかった一年の反省を気付かせてくれた。

雑音で気が散らない映画館の暗闇から出てくると現実へのタイムスリップが味わえる。数時間のこの贅沢な時を求め、今年こそは夢を見たくて、足繁く通った若い頃のように映画たちと出逢いたいと思ったりする。

「明かりをつければ、映画なんか消えてしまう」と語ったのは寺山修司だけれど、見果てぬ夢を求める映画人たちと仮の宿なるこの世界、ドン・キホーテになるのも悪くはない。

昔、スクリーンのサイコロ博打に「丁!」「半!」の掛け声が飛んだ映画館をご存じの方なら判るはず。

ハリウッドでは映画祭たけなわのこの季節、映画人たちのストライキが長引き、受賞ファッションのブームへの影響が懸念されているというけど、キネマ旬報ベストテンは「売れる」映画はあまり出てこなく、ベストテンにランキングされる映画たちは制作意義を認められたものばかり。

アメリカと違い、著作権すら確保されない日本の映画人たちよ。今年も頑張ってくれの声援を込めて、ベストテンランキング作品をレンタルDVDででも再チェックしてみたい。

日本映画


  1. それでもボクはやってない I Just Didn't Do It

  2. 天然コケッコー A Gentle Breeze in the Village

  3. しゃべれども しゃべれども Talk, Talk, Talk

  4. サッド ヴァケイション Sad Vacation

  5. 河童のクゥと夏休み

  6. サイドカーに犬 Saido ka ni inu

  7. 松ケ根乱射事件 The Matsugane Potshot Affair

  8. 魂萌え! Tamamoe!

  9. 夕凪の街 桜の国 Yunagi no machi sakura no kuni

  10. 腑抜けども、悲しみの愛を見せろ Funuke Show Some Love, You Losers!
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外国映画


  1. 長江哀歌 三峽好人 Still Life(2006年 中国)

  2. 善き人のためのソナタ Das Leben der Anderen(2006年 ドイツ)

  3. 今宵、フィッツジェラルド劇場で A Prairie Home Companion(2006年 アメリカ)

  4. クィーン The Queen(2006年 イギリス/フランス/イタリア)

  5. バベル Babel(2006年 アメリカ)

  6. やわらかい手 Irina Palm(2007年 ベルギー/ルクセンブルグ/イギリス/ドイツ/フランス)

  7. ドリームガールズ Dreamgirls (2006年 アメリカ)

  8. ボルベール〈帰郷〉 Volver(2006年 スペイン)

  9. ゾディアック Zodiac(2006年 アメリカ)

  10. パンズ・ラビリンス El Laberinto del fauno

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