1962年に石原裕次郎が日活から独立し、映画全盛期の当時、五社協定の枠に苦しめられながらも三船敏郎、劇団民藝、関西電力の下請け会社らに協力により、完成した映画。裕次郎自身が「こういった作品は映画館の大迫力の画面・音声で見て欲しい」と言い残し、ソフト化されず、劇場公開もほとんどされずに幻の名作とされていた作品。
今回、東日本大震災復興支援として全国スクリーン上映が行われており、札幌も一週間上映ということで観に行った。
春にBSプレミアムで2時間20分の海外用短縮版が放映され、それを観ていたが、裕次郎のいう「映画館の大迫力の画面・音声」で観たく、3時間あまりの完全版であることも観たい動機だった。
国策賞賛にもなりかねない題材で、社会派の熊井啓監督がメガホンを取っただけあって、戦時中の軍需電力の確保のための黒三ダム建設と経済成長期の火力発電の補助電力としての黒四ダムの建設と違わないんじゃないかという問題提起から始まる物語は日本のど真ん中に貫かれるフォッサマグナの破砕帯との闘いが描かれていく。
多くの工事人夫の犠牲で出来上がった黒四ダムは日本の高度経済成長の人柱。
その人達への鎮魂で幕を閉じる完全版の感銘は大きい。
来年DVD化されるらしいと聞くけれど、上映されたプリントの傷はかなり気になる傷だった。是非、デジタルリマスターにて傷を修復し、ソフト化願いたい。
石原裕次郎が夢にも思わなかっただろう「映画館の大迫力の画面・音声」もシネコン時代になり、シネスコ画面もまともに上映出来ない環境となり、代わって家庭のテレビが大画面化している引きこもりの時代。
日本にもこんな熱い時代があったと思い返す時代になってしまったけれど。
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