アッバス・キアロスタミのイラン時代の名作が午前十時の映画祭で上映されるというので観に行った。
プリント状態は雨がぱらつくからおそらく1993年の封切りの時のものだろう。
1987年のこの作品の後、キアロスタミは「ホームワーク」を撮り、経済成長を成した日本の教育制度を手本に黒板教育を実施しているイランの教育問題を掘り下げていく。
この映画の話は家の手伝いに追われて、学校の宿題を忘れてくる友達のノートを間違って持って帰ってしまった主人公の坊やがそのノートを友達に返そうと友達の家を探すお話。
平凡な日常の話に社会の問題を提示するキアロスタミ監督の手腕はその後も持ち味になるのだし、この映画で出て来るジグザグ坂のある村が大地震に遭い、映画の主人公役をやった少年の安否を探す「ジグザグ三部作」でも感銘した。
久々に観た映画は記憶を蘇らせてくれ、ラストのノートに挟まった押し花は絶対君主としての教師の問題を痛烈に映しだしていた。
午前十時の映画祭、観に行くのは少し大変だけど、懐かしい映画にまた再会したい。
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