2012-06-22

わが母の記 Chronicle of My Mother

幼い頃自分を見捨てた母の老い。壊れていく母に自分への想いを知る。井上靖の原作映画。

男の映画を撮り続ける原田眞人監督が描いた家族劇は思いの外、淡々と恍惚になっていく母をかばう家族の物語になっていた。

1960年代の日本を舞台にした、作家である息子が父が死に、老いた母を看取るまでの物語はあの頃の家族の絆が話の中心にある。

そこにはあの頃の大家族の煩わしさが描かれていて、その上では母の老いであった。

孤立死の今、この映画を観ると、わが事のように思われ、老いた母と僕の老家族で、母が先か、自分が先のお迎えかと思ってしまう。どっちが先でも生き残り、孤立にはなりたくないとも。

煩わしくも大勢で看取った時代。そんな時代もあったのだと。

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