2012-06-29

ニーチェの馬 A TORINOI LO

神は死んだ。神は死んだままだ。そして我々が神を殺したのだ。

1889年1月3日、トリノ市のカルロ・アルベルト広場で御者に鞭打たれる馬を見て奮い立ったニーチェがそこへ駆け寄り、馬を守ろうとしてその首を抱きしめながら泣き崩れ、やがて昏倒し、ニーチェの精神は崩壊した。

その馬はどうなったのか。ハンガリーの鬼才タル・ベーラ監督が“最後の監督作”と公言して作り上げたこの作品はセピア色のモノクロ画面で、世界の終わりの始まりを農村に暮らす父娘の6日間で描き示す。

ボルヘスとも親交あり、永劫回帰を語ったニーチェの思想をベースに描かれる映像はシニカルに世界の終わりを描き出す。

何日にも及ぶ風が収まった時、静寂が世界を包む。

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