記憶があやふやになりがちの母に脳腫瘍が見つかり、余命を告知された家族。仕事運のない父に、かつて引きこもりにまでなった兄に、お調子者の弟。家には多額の借金があり破綻状態だった。
長男と次男の性格の対比を見せつつ、困難な局面を乗り切ろうとする家族の物語。
深刻に受け止める兄と気楽に考えようとする弟。母の再検査に希望を託す兄弟の苦しみは同じであることの見せ方はうまい。
そしてさりげなく親身になってくれる他人の思いやりが家族の支えになっていくのがよく判る。
家族のあり方を問いつつ、人と人との繋がりの大切さを見せてくれる。
このシビアな物語の中、石井裕也監督らしいペーソスも織り込まれ、最近出演作が多くなっている次男役の池松壮亮の一本調子に聞こえる台詞の話し方がだんだん味わい深くなり、長男役の妻夫木聡も一本調子の台詞を話すようになる。そんな仕掛けが家族の結びつきの深まりを感じさせもする。
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