2009-05-31

昭和レトロ The Showa era retro

この頃、人でにぎわうスーパー銭湯にも飽きてきて、趣を変え、時折、街中の昔からある銭湯に行っている。

今の住宅街になっているところではそれぞれの家庭に内風呂があるから、銭湯などはなかなか経営も成り立たないみたいで、ないのだけれども、昔ながらの街には細々と営まれている銭湯がまだ何軒かある。

札幌だと街中中心部はバブル時の影響もあり、新たに家庭を持った庶民が住める価格のマンションもなく、昔からの住人と歓楽街ススキノをねぐらとする飲み屋の人たちや刺青入れたお兄ちゃんたちが今も残る銭湯に入りに来る。

スーパー銭湯の人混みはそこにはなく、風呂場のカランと呼ばれる水桶が風呂場全体に響き渡る静けさの中、何とか客寄せにと昭和末期に導入されたサウナやラドン温泉が狭いスペースに配置されており、人混みが煩わしい時なんか、街中の銭湯はリラックスの場として、最高でもある。

女風呂からは昭和レトロのマニア娘であろう、「わぁ、案外広いンだぁ」という声も聞こえてくるけど、女風呂も男風呂の刺青兄ちゃんのような極道の女たちは入りに来ているのだろうか?

常連の刺青兄ちゃんのひとりが引き戸の小窓で仕切られた番台に向かって、「おばちゃん、歯磨きくれる。風呂上がったら払うから」と唐獅子模様の全裸姿で声をかける。

おそらくスーパー銭湯出入り禁止のお兄ちゃんなんだろうなぁと、目は合わさずに素肌の刺青をそれとなく見る。

理路整然と便利さだけを売りにした平成不況の中、天上の塗り壁もはがれ落ちてきそうなたたずまいの昭和レトロな銭湯が街の片隅、営まれている。

今夜はそんな猥雑な昭和レトロを思い起こさせる岡林信康のコンサート。

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