2007-12-08

火曜日の昼寝 La siesta del martes

先日の死刑執行された人の氏名が公表された事に良い事なのか、悪い事なのか、釈然としない気持ちがあったけれど、その時の新聞記事に寄せられた「氏名公表だけでは不十分」とする犯罪学の菊田幸一明治大名誉教授のコメントを読み、なるほどと思った。

氏は情報公開の一環として「公表するのは当然の事」とした上で、「特に死刑執行前の精神状態については、客観性を確保するために、外部医師による診察をし、その内容を公表していく必要がある。」と語っている。

「裁く」からにはどれだけ客観的に「裁き」が行われたかを公表すべきなのだろう。

南米の作家、ガルシア=マルケスに『火曜日の昼寝』という短編小説がある。罪を犯し、処刑された息子の墓参りにその母が処刑された村に訪れ、息子を罪に導いた社会の罪を告発し、息子の墓参りに向かう話で、真の社会の正義を問うた作品である。

死刑執行された者たちによる社会が被った被害を刑に処せられた者たちがどのように受け止め、裁かれたかを伝えなければ、刑の正当性は確保されないであろうし、罪に導いた社会はどんどん安易に裁きを発動させるだろう。

裁かれた者たちは死に花、曼珠沙華となった。

裁かざる終えない状況に導いた社会がその事から学ばなければならない時なのだろう。

曼珠沙華

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